(二)この世界ごと愛したい
ようやく諦めたシオンが帰路を辿る。
そんなシオンに、トキがまた素朴な疑問を投げる。
「エゼルタからリンに追手向けてるのって父さん?」
「…まあ。」
「可哀想に。それをシオンが手を回して止めてたって話か。」
「まだバレてない。けど流石にこれ以上やるとバレるかもな。」
「じゃあリンの言う通りここが引き際だよ。リンは下手に捕まったりしないから大丈夫。」
それはきっと、シオンにも分かっていて。
分かっていても尚。何かせずにはいられないシオンの手綱をしっかり握っておきたいトキ。
「リンが落としたい国、どこか分かる?」
「…微妙。」
「ってことはある程度絞れてるんだ。俺の予想と同じかな。」
「ただその意図が読めない。」
「同じくー。」
「彼女にとっては知り尽くした敵だろうが、容易に攻略出来ないから今も落とせてない。」
流石は軍師一家。
その至高の読みは、外れることを知らない。
読まれたとしても私の作戦に大して支障はないと判断して、私は話したので。バレるのは仕方ない。そもそもこの二人を相手に隠し通せると思えなかった。
「ヤハネのこと、逆に俺等はあんまり知らないよね。ほぼ鎖国してるし。」
「アレンデールとソルに国境阻まれてるから仕方ないだろ。」
「あー。リンの考えって何でこんなに楽しいんだろ。もう結構本気で嫁に行きたい。」
「…ふざけるな。」
「…あのさ、冗談に決まってるじゃん。マジで返さないでよ。」
真剣なシオンのレスポンスに、トキがまた呆れる。
「お前彼女に近付きすぎ。」
「シオンにだけは言われたくないよ。もう最後リンかなり怒ってたよ。可愛かったけど。」
「…意外と口煩いからな。」
「…何気に喜んでたくせに。」