(二)この世界ごと愛したい
それはそうでしょう。
世界一の双剣の剣士で、第一将で。しかも王族らしいおーちゃん。
浪人者の私とは立場が違う。
「身分で言えばお嬢が上やろ。」
「昔はそうかもねー。」
「それを自分から手放したんやろ。お嬢はほんま変わっとる。」
「手放した…って言える程、大したものでもなかったし。私は戦神として戦場で勝利するだけの象徴になりつつあったから、これが世の為人の為ー。」
けど、無くなってしまえば不便は不便。会いたい人にも中々会えない。おまけに無駄な心配までしなくてはいけない。
守りたいものも守れない私が、己の立場だけを守るわけにはいかないんだ。
「ん。」
「どしたの?」
手を差し出したおーちゃん。
「今日は特別に先生が全部守ったる。」
差し出された手は、そのままぶっきらぼうに私の手を包んで前に歩き出す。
思わず顔が火照ったのは、たぶん。
このあざと可愛いおーちゃんが、急に男らしく手を引いてくれるから。
「…ずるいなあ。」
「何に照れてんねん。」
「照れてない!寒いだけっ!」
温かいおーちゃんの手を握り返して。
職人の街を二人で歩く。