(二)この世界ごと愛したい
おーちゃんに抱き上げられていることに、ようやく気付いた。
あまりの速さに、私は目で追うことさえ…ちゃんと出来なかった。
「何やねん。今日は装具なしかい。」
「とにかくさっさと仕事せえ。」
「もっとお嬢ちゃんの顔見せて。俺ハニーより可愛え女の子はおらん思とったのに。死ぬほど可愛えやん。見せて。」
「…はぁ。」
な、何が起こってるの?
おーちゃんの速さも勿論だけど、兄貴って呼んだ?え?お兄さん?おーちゃんより可愛い子はいないって、それは正しいと思いますけど?
「隠すんはやっぱ無理か。お嬢離れたらあかんで。」
そっと私は地面に下ろされる。
「やあやあ、可愛いお嬢ちゃん。」
「……。」
「名前は?いくつ?好きなタイプは?」
「…あ。」
名乗ってご挨拶したいのは山々だけども。
アレンデールでは、私の名前は変に騒ぎになる可能性もある…か。
「兄貴、そんなんええから早よして。」
「何なん?ハニーの新しい彼女なん?」
「ええ加減ハニー止めろ気色悪い。」
「お前より可愛い子おらんねんもん。お前が一番の俺のハニーや。いや、それも過去や。大優勝候補が現れた。」
最早、何語を喋っているのか分からない。
「…おーちゃんの…お兄様ですか?」
「グハッ…!!!」
意味不明なタイミングで血飛沫が舞う。
恐らくお兄様である、この変なお兄さんの両鼻から勢い良く鼻血が噴き出した。