(二)この世界ごと愛したい
…もう、意味が分からない。
「お、おお…お兄様…やと!?」
「アホ。鼻血拭け汚い。」
「人生で言われたい台詞トップテンに入る台詞やないか!今日は何や!俺の命日か!?」
「…お嬢、兄貴の前で迂闊に口開いたらあかん。」
喋ることも禁じられてしまった。
このお兄さんは、一体何なんだろう。もう着いて行けません。
「あ、俺ヨウスケって名前やから。」
「…は…はい。」
「出来ればヨウスケお兄様って呼んで。このダブルパンチで俺は天国に行ける。」
鼻血出しながら何言ってんの、この人。
「いや待て。お前がおーちゃんなら俺はよーちゃん。それもアリや!アリでしかない!!!」
「話にならんやん。ほんまに一回天国に送ったろか。」
「是非頼む!!!」
「お嬢、やったれ。」
おーちゃんのお兄様を天国へ導けと!?
「…な、何か…やだ。」
私はおーちゃんの背後に周り、この恐怖さえ感じる得体の知れないお兄様から距離を取る。
天国はどうか勝手に行って来てください。
「何それ可愛いー…。」
「っ…。(悲しいけど同感や兄貴!可愛すぎるやろ!?)」
それより私は先程のおーちゃんの瞬間移動が気になって仕方ない。
「ね、おーちゃん。」
「ん?」
「おーちゃんはマジシャンなの?」
「はあ?」
さっき私を抱えた時、たぶん私が反応するよりも速く近くに来て抱き抱え。また私の反応より速くお兄様から距離を取った。
ここでやっと私は反応らしい反応が出来た。
「瞬間移動したよね?」
「出来るかっ!」
「だって…。」
瞬間移動じゃないとしたら、とんでもないスピードで単に動いたと言うこと。
スピードには自信があった、私の面子が丸潰れになるくらい。