(二)この世界ごと愛したい
私とおーちゃんの会話を、お兄様が不思議そうに見る。
「お嬢ちゃん、もしかして瞬兎見るん初めてなん?」
「しゅん…と…って何?」
「ハニーの異名。」
知らないよ。
見たことないよ。
「俺の自慢の弟なんよ。」
おーちゃんの頭にぽんっと手を置いて、髪の毛をわしゃわしゃの撫で回すお兄様。
「きっしょ。」
「ハニーは変わらず可愛えな。」
「その呼び方やめろや!?」
「それよりこの子に剣教えるん?重抜きするってそう言うことやんな?こんな可愛え子戦わせるん?」
「まあ。教える言うても俺は大したこと出来ひんし。双剣の扱いくらいは…な。」
お兄様がじっとおーちゃんを見つめて、今度は真剣な声色で話す。
「お前が決めたならええけど。責任は取りや。」
「……。」
「まさか無責任に教えるつもりなん?」
「…言っとくけど、既に化け物並みの強さやで。このお嬢。」
「アホ言うな。こんな美少女が虫一匹殺せるわけないやろ。」
…私のイメージ美化されすぎてる。
けど、お兄様には申し訳ないが。もう気になることが沢山ありすぎて、さっさと仕事していただきたい。
「お兄様。」
「うっ…!!!」
「恐れ入りますが、この剣よろしくお願いします。」
「な、なんて礼儀正しい子…!」
私はお兄様にハルの剣だけを手渡す。
「お嬢もう一本は?」
「…こっちはいいの。こっちは右で使うから、左だけ軽くなればまだ動きやすいし。」
「右はそのままの重さでって、バランスいけるか?」
「無理ならその時に考える。」
そんなことより今は、おーちゃんの瞬間移動について追究したい。
もし、さっきのが人間業なのだとしたら。
私にとってこれ程の吉報はない。