(二)この世界ごと愛したい




「…なあ、お嬢?」


「んー?」


「俺はたぶん、もうとっくに手遅れやったんやと思うねん。」


「手遅れ?」



何が手遅れ?私また何かしたか?




「世界規模の争奪戦なんてしんどそうやん。しかも相手は粒揃い。面倒極まりないわ。」


「世界…の争奪?どっかの領土?」


「出遅れたことは言うまでもないし。勝てる気もせえへんな。」


「え、何?戦?」



戦に行ってしまうのか?


私の稽古は?



思わずおーちゃんから離れて詳細を聞きたいと、ちゃんと顔を見てみる。





「っ。」



一瞬、誰だか分からないくらい。


おーちゃんから可愛いが消えていて、その真剣な顔が、大人びて格好良く見えた。




「やっぱまだ足りひんから。」


「へ?」


「直接教えてくれへん?」


「な、にを…っ!?」



ちゅっと。


私の瞼におーちゃんの唇が触れる。




「泣いとるお嬢も可愛かったけど、もう泣き止み。」


「は…?」


「ほんで?お嬢は何が好きなん?」


「好き…?」


「せやな、好きやで。」



鸚鵡返ししただけで、そうじゃなくて。


あ、え?



…うん!?!?




「…ちょっと待って。話が噛み合ってない気がする。」


「あ、そうや。」



冷静になって落ち着いて考えて話したいのに、おーちゃんがまた私の身体をグイッと引き寄せる。




「ちょっ…!」


「こんな真冬に髪の毛濡れたままやと風邪引くやん。」


「だ、大丈夫。今はいいの。それより早くご飯食べよ。それがいいと思う。」


「先食べ。お嬢体弱いって王子が言うてたやろ。気付けな。」



そんなこといいよ!!!


風邪引いても今は別に気にならないよ!!!




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