(二)この世界ごと愛したい
持って来たタオルで私の髪を拭いてくれるが。
正直そんなことも気にしてられない。
「…あ、のさ。」
「今度は何やねん。」
「おーちゃん、をさ。私助けたいなって思った話したじゃん。」
「したな。」
「…あれは、無効なの?」
「勝手に無効にすな。無責任やな。」
ヒマリさんのことで、まだ回復しきれてないおーちゃんを助けたいと。
地獄から引き上げると。
そんな約束をした…のに。
「何なの!?意味わかんないよ!?」
「何でキレてんねん!?」
「変だよ!絶対変!私もういらないじゃん!?」
「いるわアホ!職務放棄すな!?」
立ち直って新たな恋に踏み出したなら、もう救いの手はいらないだろうと思った私。
しかしそれは違うと言うおーちゃん。
「職務満了だよ!?だって好きなんでしょ!?」
「好きやったら何やねん!?何の関係があんねん!?」
あ…あるだろ!?!?
「大体なんでまた私なの!?他にいないの!?」
「何で俺はこんなにキレられなあかんねん!?俺がお嬢好きやったら何か悪いんか!?」
「私本当に魔女なの!?もうどうしたらいいの!?」
「一回落ち着けや!?」
互いにヒートアップするもので。
一応歳上のおーちゃんが、この場を収拾しようとしてくれた。
「っ…!?」
髪の毛を乾かす手を止めて、向き合った体勢で私の顔を両手で押さえたおーちゃん。
自然と視線がぶつかるので素直に私は固まる。
「…それ何の顔なん。」
「ほっといて。」
自分が今どんな顔してるかは知らない。
知りたくもない。