(二)この世界ごと愛したい
ぜんっぜん見えなかったし。
かけっ子の定義分かってんのか。ゴールがなければかけっ子ではなく鬼ごっこではないのか。
どんよりした曇り空へ、一瞬だけ目線を移す。
「厳しい先生だなー。」
ここは得意のレーダーでおーちゃんの気配を追うのが早いだろう。
と、集中して気配を追うものの。
「速すぎて目回りそう…。」
なので、策を練ろう。
本来こう言う稽古ではなく、単純に動けるだけ動いて体力と筋力を底上げるものだと言うことを私はすっかり失念しています。
おーちゃんの移動を考察すると、そんなに人通りない道で。且つ広めの通り。そしてあまりこの場所から離れすぎないようにしているんだと思う。
一箇所に目的地を絞り、その場で息を潜める。
つまり。
おーちゃんの気配を追いつつ、その気配が近付くタイミングで目標を捕獲出来れば…。
「つっかまえたーっ!」
こうして捕まえるのは簡単なのである。
「はあっ!?!?」
しかし、ここで装具装着状態で持てる限りのスピードを出したことが祟る。
おーちゃんに飛び付き捕まえたものの、勢い余っておーちゃんがバランスを大きく崩す。
咄嗟におーちゃんを庇わねばと動こうと思ったが、装具の力は思ったより強力で。腕も足も最早動かせない程重い。
「っ…へ…?」
私は火龍の力は使っていない。
使ってないのに、たぶん宙に浮いてる。
「急に出てくんな!危ないやろ!?」
最悪火龍の力で衝撃だけでも和らげようと思った私の行動より早く、おーちゃんが私を抱えた。
だけでなく、バランスを崩したにも関わらず私を抱えたまま宙返り。