(二)この世界ごと愛したい
「何故だ…。」
「……。」
「何故そんな惨いことが出来るっ…。」
「……。」
抵抗なんてする意味がない。
もう溢れて止まらないイヴの涙が、私を責め立てて互いを動けなくしてしまったから。
「貴様は悪鬼じゃ。」
「……。」
「あの優しさを…慈しむ心と愛を…一身に受けておきながらっ…どこまでハルさんを傷付ければ気が済む…っ。」
「っ…。」
ほらね。
結局またこんな話だ。
「今すぐあの檻の中へ戻れっ!」
「…戻らない。」
「ハルさんをもう、傷付けるのは止めてくれ…!」
「…ねえ、イヴ。」
ごめんね。
「私はずっと、あの檻の中の小さな世界しか知らなくて。その小さな世界を守って来た。だけど檻の中から外に出てみたら、世界は広かったよ。」
「お前のことなど小事。そのお前の小さき世界を守ることに、己の人生を全て賭してハルさんは生きて来たんだ。」
「…知ってる。」
全部、知ってる。
ハルのことなら誰よりも知ってる。
「貴様の存在意義は、檻の中の小さき世界でハルさんを支えることだけだ!!!」
「…イヴ。」
「それ以外お前に何が返せる!?あの人の人生全てを棒に振る気か!?」
「…イヴ。」
「分かったら今すぐ帰れ。時期ハルさんが戦から戻られる。その場所でお前は大人しく待っているだけで良い。」
「イヴっ!」