(二)この世界ごと愛したい
カイに呼ばれたおーちゃんがハッとして。
そして私に駆け寄る。
「お嬢大丈夫か?」
「あーこの瞳さっさと戻さなきゃ。」
「とりあえず医者や。俺王子に鷹飛ばすわ。オウスケ上で看病頼むで。」
私を抱えておーちゃんが部屋に連れて行ってくれて。
ベッドに運んでくれたが、その表情は重く暗いのは一目瞭然。
「檻の中って何なん。」
「へ?」
「さっきデカブツが言うてたやん。お嬢に檻に帰れって。」
「…アレンデールの私の部屋。一時期ね、そんなのがあった時もあったから。」
イヴが余計なことばっかり言うから、おーちゃんがこうして嫌な気持ちになるじゃないか。
「そこに帰るつもりなん?」
「…今は帰らないよ。」
「今も後もないわ。そんなとこ帰ったらお嬢は生きながら死んでるんも同じやで。」
あれはそういうことだったのか。
いや、でもちゃんと生きてたつもりだ。
「死んでる…なら、痛くないよね。悲しくもない。涙も出ない。」
「……。」
「だからあれでもちゃんと、生きてたよ。」
「それのどこがっ…!」
別にいいんだ。昔のことなんて。
私も納得出来てるし、誰のことも恨んでない。それに実際、あの檻がなければもっと凄惨な今があったかもしれない。
「おーちゃんは、みんながハルを優先して、私を蔑ろにしてるって思ってる?」
「っ!」
「あんな話だけ聞いたらそうかもしれないけど。実際は私も沢山の人に良くしてもらってたし、楽しかったし幸せだったよ。」
「…それでも俺はお嬢が今、アレンデールを出たのは正解やと思う。」