(二)この世界ごと愛したい
何かそれ、誰かも言ってたな。
「あ、シオンも同じこと言ってた。英断だって褒められた。」
「…それでも帰るん?」
「自分の国だしね。守りたいものもある。大切な人も沢山いる。」
理解してほしいとは言わないけど。
それでも引き止めないでほしいとは思う。
「お嬢、とりあえず解熱剤持って来たで。飲めるか?」
「ありがとー。これ飲んだらもう少し考え事したいから一人にしてねー。」
カイが私に解熱剤をくれたので、もう慣れた私は一気飲み。
一人にして欲しいと頼んだ。
「お嬢はよ寝なあかんで。」
「うん、少しだけだから大丈夫ー。」
「…何かあったら呼びや。俺かオウスケか今日はここ泊まるようにするわ。」
「そこまでしてもらわなくて平気だし一人で大丈夫だよ。ありがとう。」
丁重に断ったが、たぶんどっちかは残るだろうな。
この二人優しいからな。
そんな二人が退室した部屋で、私は一人でまた基盤に向き合って。駒を動かして。考えを巡らせる。
…巡らせたかった。
「っはる…。」
思わず涙が溢れたのは、別にイヴに責められたからではないし。おーちゃんの優しさから目を背けた痛みからでもないし。ハルが心配で堪らないわけでもない。
この瞳を元に戻すため…って理由にして欲しい。
もう思考は完全に停止している。
正直今は何も考えられない。
だから机に置いた基盤に突っ伏して、泣きながらもそのまま眠ることになってしまった。