(二)この世界ごと愛したい
「いや、無理やで。」
「無理って何やねん。」
「それにはお嬢の同意が必要。お嬢がそれを望むわけないやん。」
「今はって話やろ?」
「前向きか。お前そんなんやったら鬼人には会わん方がええよ。」
カイは年の功での経験も踏まえて、おーちゃんを諭す。
「そんな気持ちで会ったら、打ちのめされるんはお前や。」
「…俺もう頭使い過ぎてしんどいわ。」
「ほな俺帰るわ。」
「え、俺が残るん!?」
おーちゃんはてっきりカイが残ると思っていたらしい。
私の看病をするのは、自分よりもカイが適任だと思っていたから。
「残ってやりたいんは山々やけど。あんだけ熱高かったら食欲なんか沸かんやろうし。俺がおったところでなー。」
「……。」
「やらしいこと考えるなよ。相手は病人やで。」
「かっ、考えてへんわアホ!!!」
真っ赤になるおーちゃんを見て、どっちやねんと笑い。
そして真剣な顔に戻ったカイが、おーちゃんに頼み事をした。
「とにかく側におったり。たぶんまた泣いとるやろうから。」
「…また?」
「今日は色々あったし。弱い自分が許されへんねん。普段はどうにか頑張ってるけどな。あの子、元々そんなに強くないんよ。」
「頑張り過ぎなんよな。」
うんうんと二人で頷き合って。
カイはお店を出る前に、もう一声おーちゃんに伝えた。
「それに、世界で一番大事な人間が戦場におるって。お前の方が気持ち分かってやれるやろ。」
カイが出て行ったドアを見つめて、おーちゃんはまた切なそうに顔を歪める。
この時考えたのが、私なのかヒマリさんなのかは不明だが。
それを言われてしまっては放っておけず、私の眠る部屋に足を運ぶ。