(二)この世界ごと愛したい
アキトを言い包めるのが相変わらず上手なトキ。
レンはトキの言う通りに、酒場を目指して手早く移動した。
「あ、王子来たで。」
「オウスケ失礼すなって。アホがすんません。早く来てくれて助かったわ。」
酒場に入ったレンに気付いたおーちゃん。
そして非礼を詫びるカイ。
「リンは?」
「昨日晩に王子から預かってた薬は飲ませてんけど、そこからそのまま。まだ上でぐっすり。」
「お邪魔します。」
レンはすぐに上の階、私が眠る部屋に入り様子を確認する。
人差し指で体温を測る所作も変わらない。
「…熱引いてるね。」
「あれ?昨日は確かに火でも触ってるくらい熱かってんけどな?」
「もしかしてリンの瞳の色変わってました?」
「あ、変わってたな。」
レンは色変わりする瞳が、私の体温さえも上昇させることを知っている。
「熱はそこからですね。もしかしてかなり疲れてました?」
「…疲れてた、な。」
「じゃあ今リンは絶賛回復中ですね。リンの自己防衛なので、このまま寝かせるのが一番の薬です。」
「はあー。何事もなくて良かったわ。こんなことでわざわざ呼び付けて堪忍な。」
カイはレンにそう謝るが、レンは寧ろ感謝を伝える。
「自分の不調にも興味がないんですよね。だから助かります。」
「…お嬢いつ起きる?」
「昨日の夜から寝てるなら、もう時期…いつ起きても良いと思う。」
カイの後ろからヒョイっと出て来たおーちゃんもまた、目覚めない私をかなり心配していて。
そんな姿を見てレンが笑う。