(二)この世界ごと愛したい
そこで、まだまだ地図を眺める私の隣に座っているおーちゃんが声を発した。
「弟軍師、それ俺も行ってええ?」
「は?」
「白狼会うの。」
「え…何急に。」
驚いたのはトキだけではなく。
カイと私もその発言に一緒に驚いた。
「オウスケ!白狼また来るやろうし大人しくしとき!」
「お嬢俺おらん間カイの護衛頼むわ。」
「え、私っ!?」
カイの制止にも聞く耳を持たないおーちゃんに、巻き込まれた私。
「おーちゃん、シオンに会いたいの?」
「…まあ。」
「仲良しだっけ?」
「アホか。仲良くないわ。」
てか、護衛って。
私が帰国してたら無理だけどどうするんだろう。
そんな私の不安は杞憂に終わる。
戦を終えたら、すぐにアレンデールへ帰国するものと思われていたハルは、アレンデールの国境を中々越えようとはしなかった。
「トキ早めに帰って来いよ。俺も早く戦やりてえ。」
「あーうん。けど、瞬兎さん本当にエゼルタ行くの?」
「行く。」
「…はぁ。」
カイはもう半ば諦めた様子。
おーちゃんとトキが二人でお出掛けって、護衛を付けるべきは寧ろそっちではないかと。密かに疑問に思ったのは内緒にしておこう。
「あー。今日は賑やかだね。私ちょっと上戻っていい?」
考え事をしようにも集中出来ないもので。
私はカイのコーヒーをしれっと飲み干したのを良いことに、部屋に戻ろうと立ち上がる。もう動けます。
「お前はここで俺の相手だろ。」
「っ!」
立ち上がった私をまた捕まえる、アキト。
「…そんなに寂しかった?」
「ああ!?」
「そりゃあ愛しいリンに会えなくて可哀想なもんだったよ。リンに似てそうな女をしばらく侍らせてたけど、何か違ったみたいだよ。」
「ばっ、お前…!!!」
ほう。
私に似てる女性を見繕ってたのか。
「私も見たかったなー。私に似てる人。」
「大したことなかったよ。リンより可愛い子なんてそういないからね。」
「トキが見ようとしてないだけで沢山いるよー。」