(二)この世界ごと愛したい
私には分からない、ハルの感覚。
「アキトなら分かったりしてー。」
「んあ?」
「ここ。この城を落とした理由、分かる?」
「んー…。」
私とトキは、アキトに地図を見せながら、アキトの主観を聞いてみる。
「…分からん。」
「あら、不発。」
「やっぱアキトは馬鹿だから無理だよ。」
勝手に期待して勝手にガッカリする私達に、またギャーギャーと怒るアキト。
大変失礼しました。
それからも、細かい戦の状況を聞いたり、アキトとトキそれぞれの近況を教えてもらったり。
お酒を飲みながら仲良く話をした。
「リンは?」
「へ?」
「最近何かあった?」
「…最近かー。」
何があったっけ?
体調を崩してしまう程には忙しくしていたが、イヴのことはカイの仕事に差し障る可能性もあるし。
これからの対エゼルタ戦についてを、トキに話すのは流石に気が引ける。一応母国だし。シオンも含めた家族はそこに健在だし。
「あ、これくらいは言っとこうかな。」
「なになに?」
「もうすぐ私ね、エゼルタのお城に殴り込みに行ってくる。」
「…は?」
トキが可愛い顔で固まってしまった。
「もう二度と取り戻したいなんて思えないくらい、心へし折って諦めさせてくる。」
「いや、待って。リンストップ。」
「もう少しの辛抱だからね。絶対絶対、私トキの居場所を守るからね。」
「っ…!」
ぎゅっとトキを抱きしめると、少し戸惑ったトキが抱きしめ返してくれる。
「…ん?い、痛い痛い!トキ痛い!!」
「あんまり可愛くて。」
内臓まで圧迫する程の力で返ってくるもので、痛いし苦しい。
「いーたーいーっ!」
「あー暴きたい。リンは何でこんなに俺の気を引こうとするの?もう本当に嫁に行こうか?」
「うわ、それはちょっと嬉しいっ!」
それにしても痛い!トキ力強すぎる!!!
「ちょっと暴きたい欲止まんないや。」
「へ…ぅわっ!?」
私を抱きしめたままのトキが唐突に立ち上がる。
そのままカイとおーちゃんに声を掛ける。
「今夜はこの可愛いお姫様、俺等で面倒見るよ。」
「うん!?」
「アキト行くよー。」
「や、ちょっ…ごめんなさい許してっ!」
完全に墓穴を掘りました!!!
暴かれてもお話出来ることじゃないんです!!!