(二)この世界ごと愛したい
「ちょっと待ち。」
私を持ったまま。
店を出てどこかへ行こうとする、この誰も逆らえないトキさんの腕を引っ張り引き止めたおーちゃん。
…ありがとう!!!
「何?」
「お嬢に武器渡したらあかんで。」
「え?」
「とりあえず今日は動いたらあかん。守らんかったらもうお嬢には何も教えへん。」
きょとんとするトキ。
私は、ぶすっと不貞腐れていた。
「膨れてもあかん。」
「…けち。」
「分かったか?」
「…はいはい。しないしない。」
トキの肩越しに態度の悪い私を、おーちゃんはそれでも咎めはしない。
「今は頑張らんでええから。“お友達”と仲良うな。」
私の頭を子供を宥めるように撫でた。
しかし、“お友達”と言うワードをやたら強調した気がするのは気のせいだろうか。
「…“お友達”だあ?」
「じゃあアキト、リンと先に宿行くね。」
何故かアキトの癇に障ったようで、おーちゃんに詰め寄っていた。
その中にも関わらず、私は二人が泊まるらしい宿に強制連行されてしまいました。