(二)この世界ごと愛したい
「喧嘩するなら外で頼むでー。」
脳天気にカイがそう言って。
今はおーちゃんは装具なしなので、カイはそんなに心配していない様子。
その言葉を聞いて、アキトはさっさと外に出る。
「別に喧嘩なんかせえへんよ。」
「にしては安い挑発やん。オウスケ程々にな。」
良く分からない会話をした後、おーちゃんもアキトを追って店外へ。
「“お友達”がそんな気に食わんかったん?」
「ああ、気に入らねえなあ。」
「そら堪忍な。ちょっと聞きたいことあんねん。」
「あんたが俺に?」
どうやらただ、アキトとお話をしたかっただけらしい。
それにしては回りくどい引き止め方だった気もするけども。
「お嬢の道って何なん?」
「リンの道?」
「知っとる?」
「…アイツが展開する道は多いからなあ。どの道か分かんねえ。」
そう。
幾重にも枝分かれする私の道を、アキトは知っていても、どの道のことを聞かれているかが分からない。
「俺とカイに聞かれるんが嫌で、殺気まで撒き散らして隠そうとしとったから。どんな道なんか気になってん。」
「……。」
それを聞いて、アキトは考える。
私がカイとおーちゃんの二人を大切に思っているだろうと感じていた。だからこそ、そこまで私が秘密裏に進もうとする道とは何か。
アキトは考えて、考えたからこそ。
「なら、隠すことが誰かのためなんだろ。」
「誰かって?」
「知らねえよ。その場にあんたが居たならそうじゃねえの。」
「…やっぱ分からん。」