(二)この世界ごと愛したい
パルテノン王都は騒然。
鬼人の軍が攻めて来たとパニック状態。さらにこの光が更に何事だと不安を煽る。
「とりあえず今から城の手続きなんて間に合わへんな。後で俺がどうにかするし、少数だけそのまま通して構へんよ。」
「き、鬼人を王都に通すんですか!?」
「しゃあないやろ。目的は侵略やないことは分かっとるし、今は無駄に被害出さんことだけ考え。」
「しかし…。」
敵国の第一将を、それも王都に招き入れるなど。とても容易に許容出来ることではない。
「このままやと王都の衛兵、全員死ぬで。」
「わ、分かりました。」
かなり強引に国門を開門させることとなり。
アレンデール軍は少数どころか、僅か数騎だけでその門を潜る。
「やべえ。今から鬼人来るのか。やべえ。どうしよう。」
「アキト、今それどころじゃないって。」
「俺の心が大問題だ。やべえ。心の準備が無理だ。」
「前代未聞の大問題の真っ最中だから、アキト黙っててね。」
赤く輝く光が消えた時、姿はなくとも。
すぐそこにいると気付く。
「リン!!!」
突風が吹き荒れるように。
その声は、眠っているはずの私を貫く。