(二)この世界ごと愛したい



ハルが眉間に皺を寄せる。




「…酒場…か?」


「あーまあ。先日そっちのお城の方来てたし、詳しいことはまた聞いといてもろて。」


「…で?」


「とりあえずお嬢の準備もあるやろし、中でお茶でも出すで。戦帰りでお疲れやろうし。」




怪訝そうなハルとは裏腹に、さっさと一人酒場の中にズカズカと入って行くるう。


自由な二人で本当に申し訳ないです。





「あ?お前等何してんだよ。」



中に入ったるうが、アキトとトキに気付く。




「ちょっと仕事の依頼ついでにリンの顔見に来ただけ。ルイも元気そうだね。」


「…アキトは何してんだ。」


「鬼人が神々しくて直視出来ないんだって。」


「馬鹿じゃねえの。」



トキと話するうは、その横で不審に机に突っ伏したアキトに吐き捨てた。




「ルイ…。」


「あ?」


「あんたがルイなん?」



そんなるうに、今度はおーちゃんが声を掛ける。


しかしこの二人は初対面。




「そうだけど。」


「…ふーん。」


「…ここの第一将か。」



おーちゃんの頭の将印が目に止まったるう。




「まあ。」


「…弱そ。」


「はあ!?お前見た目で判断したやろ!?」


「初対面で見た目の他にどこで判断すんだよ。」


「何やこいつ!?初対面で失礼な奴やな!?」



うちのるうがすみません。


本当にすみません。




「ハルちょっと待ってて。」


「お前はここに居ろ。」


「帰る準備するだけだから。」


「ルイがやるからいい。もう寝てろ。」




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