(二)この世界ごと愛したい
ハルが居ないと、ただの人形のようにそこにいるだけの私を。
いつだって側で支え続けて来たるうが、それを当然であると思うほどに。ただ私の命を重んじた。
「リンの一番の願いは、命を手放して初めて叶う。」
「っ…。」
「分かってやれなんて言わねえけど。生きるのが嫌だって泣き叫ぶリンと正面からぶつかったハルが、一番キツいに決まってるんだ。」
火龍の力。
その力を持って産まれた私。
それは望んだ物ではなくて。私の意思とは関係なく、勝手に備わった物。
世界を滅ぼし、幸せを壊し、人の心を蝕む力。
「リンは誰よりも優しいから、誰かを傷付けるのが怖くて仕方ねえんだよ。そんなことになる前に、自分が居なくなれば良いって平気で自分を殺せるんだ。」
「……。」
「ま、ハルが居る限りリンは大丈夫だし。あんま心配すんな。」
「…お前は…何しててん。」
私がそうして苦しむ間、るうは何をしていたんだと問う。
それにるうは自嘲する。
「俺は、ただリンから逃げた。」
「逃げた…?」
「好きな女が泣きながら頼むその願いを、叶えてはやれねえから。それ以外を全部叶えることに逃げた。」
「…アレンデール、アホばっかやん。」