(二)この世界ごと愛したい



ガタンガタンと揺れる馬車。


眠る私を大事にしっかり抱き抱えたままのハルと、それを見守るるうと。アレンデールへ向かっています。




「……可愛い。」


「……。」


「……あー可愛い。」


「……。」



眠る私を見つめては、永遠に迷惑な呟きを聞かされるるうは最早無視を突き通す。


きっと、馬鹿すぎて言葉が出ないんです。



そんな馬鹿げた時間をアレンデール到着まで強いられたるうは、本当に可哀想なものだ。





「リン隠せ。」


「…自分の国に帰るだけを、わざわざ隠さなきゃならねえとはな。」



それはるうも同じ思いだが。


名目は追放である以上、公に堂々と城へ帰るわけにはいかないのです。




「さっさと風呂入って治療して飯食い終わってから部屋に来い。」


「俺は餓鬼じゃねえんだよ。」


「お前等は餓鬼でも出来ることが出来ねえから言ってんだよ。」


「……。」



ハルも私も、きっとるうには一生勝てません。



私をまた外套で覆い抱えて馬車から降りると、民からの勝利の祝福が迎える。



歓声が響く中を太々しく歩くハル。


そして横で私が起きないか心配するるう。





「ハル様おめでとうございます!!!」


「流石はハル様!見事な勝利!アレンデールの英雄だ!!!」



そんな有り難い言葉にも聞く耳持たず。




「ハル様お怪我をっ…!?」


「ああ、我々のために何と言うことだ…。」



そんな心配の声にも顔色一つ変えず。




「腕に抱えているのは誰だ!?」


「まさか例の将印を賜った女性では!?」


「世界一の美女と噂されるお方か!?」


「まさか勝利の祝いに加えて祝言を!?」



ここでようやく、ハルは足を止める。




「祝言…。」


「おいコラ、変なこと言うなよ。」




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