(二)この世界ごと愛したい
私の部屋を出たるうは、とにかく足早に自室へ向かう。
そして浴室に入り、頭から冷水を被る。
「…いってえな。」
痛む胸。
流れた涙。
「フラれた時より痛えって何だよ。」
思わず自分にそう問い掛けたくなる程の痛み。
誰よりも強いるう。
誰よりも私を思い遣るるう。
死を望む私が人の感情に触れてはいけない。侵してはいけない。返さないのだから逃げればいい。目を瞑って向き合わなければいい。
そんな私の性格を知っている。
知っているからこそ、必死に生と戦おうとする私の言葉の重みを察した。
「…あー…ケジメなんて言うんじゃなかった。」
冷水で頭を冷やしたるうは、その頭を拭きながら浴室から出る。
「よう、永遠の二番手。」
「……。」
そこに待ち構えていたハルに、げんなり顔を歪める。
「微妙な顔だな。」
「微妙で悪かったな。」
「俺のリンは良い女だろ。」
「…そうだな。」
るうは思わず笑ってしまう。
それを見たハルも、嬉しそうにつられて笑う。
「割と元気だな?」
「痛えより嬉しいが勝った。」
「お前どうする?」
「今はリンの邪魔になりたくねえのは変わらねえし、諦めるには惜しい女にも違いねえな。」
それが、るうの正直な気持ち。
「リスタートだ。」
「あ?」
「一からやる。専属として将軍として男として、新しいリンとまた一から始める。」
「…めんどくせえ道だな。」
ある意味生まれ変わったに近い私と、更にここからまた一緒に歩んでくれるとるうが言う。
「一番の椅子に余裕こいてる暇あんのか?」
「…未来永劫俺のリンだ。」
「今は誰にも負ける気がしねえ。面貸せ。」
「俺は戦帰りなんだが。」
「あと一万戦は戦えるんだろ。」
「…うぜー。」