(二)この世界ごと愛したい



私の部屋を出たるうは、とにかく足早に自室へ向かう。


そして浴室に入り、頭から冷水を被る。





「…いってえな。」



痛む胸。


流れた涙。





「フラれた時より痛えって何だよ。」



思わず自分にそう問い掛けたくなる程の痛み。



誰よりも強いるう。


誰よりも私を思い遣るるう。




死を望む私が人の感情に触れてはいけない。侵してはいけない。返さないのだから逃げればいい。目を瞑って向き合わなければいい。


そんな私の性格を知っている。



知っているからこそ、必死に生と戦おうとする私の言葉の重みを察した。





「…あー…ケジメなんて言うんじゃなかった。」



冷水で頭を冷やしたるうは、その頭を拭きながら浴室から出る。





「よう、永遠の二番手。」


「……。」



そこに待ち構えていたハルに、げんなり顔を歪める。




「微妙な顔だな。」


「微妙で悪かったな。」


「俺のリンは良い女だろ。」


「…そうだな。」



るうは思わず笑ってしまう。


それを見たハルも、嬉しそうにつられて笑う。




「割と元気だな?」


「痛えより嬉しいが勝った。」


「お前どうする?」


「今はリンの邪魔になりたくねえのは変わらねえし、諦めるには惜しい女にも違いねえな。」



それが、るうの正直な気持ち。






「リスタートだ。」


「あ?」


「一からやる。専属として将軍として男として、新しいリンとまた一から始める。」


「…めんどくせえ道だな。」



ある意味生まれ変わったに近い私と、更にここからまた一緒に歩んでくれるとるうが言う。




「一番の椅子に余裕こいてる暇あんのか?」


「…未来永劫俺のリンだ。」


「今は誰にも負ける気がしねえ。面貸せ。」


「俺は戦帰りなんだが。」


「あと一万戦は戦えるんだろ。」


「…うぜー。」





< 907 / 1,120 >

この作品をシェア

pagetop