(二)この世界ごと愛したい
そんなこんなで、ハルは決闘を申し受け。
戦傷を負い、戦帰りとは思えぬ力でるうと戦い。善戦するも紙一重でるうは敗れる。
二人がそんなことをしている間、暇を持て余した私は部屋にある基盤と駒を使ってまた思考を巡らせる。ハルの戦が終わったので、こちらも集中出来ます。
まず先に始まるだろう、エゼルタ対パルテノン戦。私がパルテノンを戦わせないために各地を飛び回って蒔いた種が、芽吹き始めている。
しかしエゼルタの方から、嫌に重々しい空気が流れて来るのも分かる。
敵将は誰なのか。
私の憂いはシオンだけ。シオン以外なら誰でもいい。あれには勝てる気がしないので。
そして考えることは他にもあって。
…ヤハネ国陥落。
私は生まれて初めて、国そのものを落とすことを試みている。あの国の領土と軍事力がアレンデールに加われば、単にアレンデールの力はこの戦国の世で頭一つ抜き出る形になる。
しかしここにも憂いはある。
何せ私が戦に出られない。つまり、私以外の誰かが先陣を切り討ち滅ぼさなければならない。
自分で動けるなら臨機応変に対応可能でやり易いんだけど、実際それは出来ないから。だからこそ、先にエゼルタで試すことにした。
「私の力は…どこまで通用するかな。」
不安がないわけではない。
一手間違えれば自国でもない国に身勝手に関わり、私の命を差し出しても済まない大打撃を与えることにもなり兼ねない。
そんなことは分かっている。でも。
「…愉快適悦。」
これだから止められない。
これが、乱世だ。