(二)この世界ごと愛したい
コーヒー準備に取り掛かったるう。
しかしハルは口を割ろうとはしてくれない。
「敵将のハゲさん強かった?」
「…別に。」
「ソルの王都からは離れてたよね?どの辺で討ったの?」
「……。」
ハルが大将戦をしていた場所は、王都からは少し距離があった。
今後また各地移動する私としては、その場所は知っておきたいと…思っているだけなんですが。
「はーるー?」
「……。」
「…何?どうしたの?」
いつもと明らかに様子の違うハルに、思わず心配までしてしまう。
そんなに強かったのか?場所を言うだけで何を渋る?
「う…討って、ない。」
「…うん?」
「人違いを…しました。」
「…はい?」
ようやく口を開いたハルから出た言葉は、耳を疑うようなそんな言葉。
あのハルが、討てなかった?
そして人違いって何?
「…えー。つまりソルの第一将を討ったけど、それが結果別人だったって解釈で合ってる?」
ハルの言ってることを何となく繋ぎ、私の導き出した解釈を述べるとハルは小さく頷いた。
「…ハル腕落ちた?」
「っ!?」
「何してんの?」
「…ごめんなさい。」
これは予想外。
復帰戦とは言え、このハルが討ち損じるとは。
「…もしかしてハル、混戦の中で討った?」
「はい。」
「その時敵は後退してた?」
「はい。」
…なるほど。
ハルは人違いをしたんじゃない。
故意に替え玉を討たされたんだろう。
「嫌な敵だったねー。」
「…もう一回討って来ます。」
「ううん。ここはもう深追いは止めよう。」
「許してくれるか!?どうすればいい!?」
私は敵の全貌が見えているわけではない。
自分に似た人間を初めから準備していた周到さ。それを迷わず配置出来る残忍さ。
「…この判断は任せよう、シオンに。」
「…あ?」