(二)この世界ごと愛したい
「…じゃあお前、もう俺はいらねえか?」
ハルが握ってくれる手に、ぎゅっとまた強い力が入る。
「え?」
「俺が居なくても、お前は平気なのか?」
「無理。」
「…俺も無理。」
それとこれとは話は別です。
確かにハルのいない毎日を過ごしていたけれど、ハルは居ないとダメだ。
「私が歩く道の先にいつもいるのはハルだよ。そこに向かって道を作るの。私はそれしか知らないし、ハルが居ない場所には道は作れない。」
ハルがいるから、私は出来るの。
ハルがいるから、私は歩けるの。
「ハルがいないと、何も見えなくて歩けないよ。」
ごめんね、ハル。
いつまでも手の掛かる妹で、ごめんね。
だけど、唯一。
ハルがいない場所へ続く一本の道があるのも確かだ。
私とイヴしか知らない、秘密の道。
「どうせ生きるならハルの太陽に照らされて、ハルの風に流されて生きてたい。」
「…はぁ。」
「困る?」
「それは、またお前が帰って来なくなるってことだろ。俺は一秒も離れたくない。」
「離れなくて済むように行くんだよ。」
「…分かってても、お前が側にいねえのはやっぱり嫌だ。」
いつまでもぶすっとしたままのハルの顔を、私はグイッと引き寄せる。
「大丈夫。ずっとずっと、世界で一番大好きだよ。」
「っ!」
「だからそんな顔しない。ハルが元気ないと、せっかく来てくれた春が逃げちゃうよ。」
「…誰が逃がすか。」
そのままぎゅーっと私を抱き締める。
だから私もしっかり抱き締め返してみて。二人で笑って、春の訪れた祭りを楽しんだ。