(二)この世界ごと愛したい
幕が開けた舞台を、私は静かに鑑賞する。
踊り子さんは本当に綺麗で、思わず見惚れてしまう程だ。音楽に合わせて動くと言うのは少し難しそうではある。
そして、ハルがどうして私の剣技を舞のようだと言ったのか少しだけ分かった気がする。
「…軽さか。」
風に沿って舞い踊る様は、私の動きと似ている様に見えたんだろう。
絶対こんなに綺麗じゃないけど。
「出来そうか?」
「音に合わせるの難しそう。」
「お前には無縁だったもんな。」
「…音じゃないなら無理ではないかもね。」
初見の舞ですが、とても綺麗で感動しました。
パチパチと拍手を送る私をるうは穏やかな顔で見ていた。そして買い物に行こうとまた手を差し出す。
お誕生日プレゼントとして、お祭りで売っている欲しいと思うもの全てを購入してもらって。両腕に沢山抱えて城に帰った私達。
「おかえり、リン。」
「ハルただいまーっ!見て、沢山買ってもらえたのっ!!」
私の部屋で待っていたハルに、ご機嫌で飛び込む。
「良かったな。」
「うん!るうありがとーっ!」
もうこの二人がいて怖いものなど私にはないな。絶対ない。
だって幸せすぎる。
「お祭り、全部楽しかったよ。二人とも本当にありがとうっ!」
「…可愛いが爆発してる。」
「馬鹿っぽくて悔しいが激しく同意。」
笑顔でお礼を伝えた私に二人で悶え、今日は喧嘩もせず穏やかでいられて良かったとホッとした。
迎春祭が終われば、次はハルと例の戦で落とした城へ行くことになっている。
そして何なら私はそのままパルテノンに戻るつもりだ。
「明日出発して、明後日にはパルテノンに戻るね。」
「「嫌だ。」」
そうやって捏ねる二人をまた宥め。
全然納得はしてくれていなかったが、強行してやることに決めた私。
たぶん私のことを何より理解している二人は、これ以上無駄なことを悟り。さっきまで機嫌が良かったのが嘘みたいに不貞腐れている。