(二)この世界ごと愛したい
「…どうしよう。」
「は?」
「ハルのこと好き過ぎてどうしよう。」
「…どうしようって何だ。」
だってさー。
ここまで来ると本当に私はハル以外の人に目が向かないんですよー。
それってどうなの。
「ハルより好きになれる人、絶対出来ないじゃん。」
「最高か。」
「そうなったら私、やっぱ今世で恋愛無理だね。」
「俺得か。」
走って走って。
ソルから奪った城を目指して、長い時間ただ走って。
その間ハルの側にいられることが、触れられることが、嬉しくて仕方ない私。
生きてて良かったと、生まれて初めて心から思える。
…そう思わせてくれるのは、ハルだよ。
「着いたぞ。」
「着いちゃったー。」
「何が不満だ!?」
「ハルと離れるのが不満ー。」
城に着いたのにテンションが下がった私。
もう少し、ハルにくっついていたかったんです。
「馬鹿可愛い。」
「っ!」
先にハルが下馬して私を降ろしてくれるかと思いきや、私を抱えたまま馬から飛び降りた。
「安心しろ、死ぬまで離さねえ。」
「死ぬまでは嫌ー。」
「んだよ!?お前が言ったんだろ!?」
「ハルは極端なんだよー。」
落としたソルの城を見ると、それはそれは立派な城で。
落とすのに苦労しただろうことはすぐに分かる。それをただ私と花見するために落としたと言うんだから、ハルは本当に極端だ。
「落とすの、これしんどかったね。しかも作戦も練らずに行き当たりばったりで、私には絶対落とせない。」
「そうか?俺天才か?」
「…天才…と言うか、力技で押し切ったんでしょ。敗走した兵もいたって報告聞いたよ。」
「かなり散らばったからな。俺を見失った奴は逃げねえと孤立するしかねえし。」
「そんな戦い方しないでよ!?私もうみんなに会わせる顔ないよ!?」
目的も些細なのに可哀想…!!!