(二)この世界ごと愛したい
深掘りされないなら好都合だ。
よし、このまま帰ってやろう。おーちゃんを送り出したらカイの護衛だ。
「ってことで、じゃあまた…」
「リンが儚いのは、みんな知ってるよ。」
私の言葉を遮って、レンが何かを言っている。
私が儚いと。そしてそれをみんな知ってると。まずみんなって誰だよ。
「儚さは妥当な表現だね。言われたこともあるし自分で思ったこともある。良い意味じゃないけどね。」
「うん。」
「別に私にはどうでも良いよ。どうせこれからも変わらないし。」
「…変わらない?」
変わらない。変えたくない。
変わってはいけない。
「リンは、ちゃんと変われてるよ。」
「っそんなこと…。」
どうして?
「リンは、強くなった。」
ずっとずっと。
ハルにそう言われたいと思ってた。認めてもらいたいと思ってた。
たったそれだけの、そんな言葉を。
「な…んで…。」
私が欲していると。
レンはどうして分かったの。
「大丈夫だよ。みんな分かってる。」
「…さっきから、みんなって誰。」
「リンのことを大切に想ってるみんな。」
そうなの、かな。
ハルも、そう思ってくれてるのかな。
ハルはいつだって、私の欲しい言葉だけはくれない。
「…私は職場に戻るよ。レン、トキとおーちゃんよろしくね。何かあったら飛んで行くから。」
「大丈夫。何も起こらないから、リンは戻ったら少し寝なさい。」
こつんと、頭を小突かれる。
綺麗に笑うレンの顔は、やっぱり綺麗で。紺碧の瞳が尚も輝いている。
「素敵…。」
「え?」
「…ん?あ、ごめんっ。」
思わず心の声が漏れ出てしまった。
何てマヌケなことをしているんだ私!?
「…巻き込まれたついでに、リンの見送りもらってもいい?」
「え、行ってらっしゃい?」
「のキスして?」
「……。」
要は行ってらっしゃいのチューが欲しいと。