(二)この世界ごと愛したい
「…よし。じゃあ瞬兎さんは俺と行こう。」
「にしても立派な城やな!うちの城とは大違いや!キラキラしてるな!」
「今変装中ならもっとお淑やかにしててよ。馬鹿丸出しで恥ずかしい。」
「何やと!?」
マイペースなレンはさっさと診察へ行ってしまう。
残った二人は、シオンとトキの自宅を目指して再び城外へ足を進める。
「…トキ?」
後ろから、艶やかで綺麗な声がトキを呼び止める。
「うわ、最悪。」
「…婚約者に向かって失礼ね。」
あと一歩で城外だったのに、トキは婚約者であるユイ姫さんに見つかってしまった。
おーちゃんはまた物珍し気にユイ姫さんを見る。
「シオンに会いに来ただけだから、あんたに用はない。じゃあね。」
「お待ちなさい。」
「急いでるから。」
「こちら、どなた?」
ユイ姫さんが徐におーちゃんを指差す。
「…セザール王子の連れの子。」
「どうしてトキと一緒にいるの?」
「別に俺が誰といても関係ないでしょ。」
トキがおーちゃんをグイッと引っ張り、この場を離れようと急ぐ。
おーちゃんはされるがまま。
「トキ、その女は置いて行きなさい。」
「は?何で?」
「あなたの婚約者は私。その私の目の前で他の女を横に置いて触れるなどあり得ないでしょう?」
「…セザール王子の連れだって言ったよね。下手なことすると国同士の揉め事に繋がっても知らないよ。」