「逢いたい」でいっぱいになったなら~私の片想いが終わるとき
「今日の織部さん、ちょっと色っぽかったですよね」

休憩所から美琴の話が聞こえてきて、俺は足を止めた。

「あー!俺もそう思った!あれ、多分アイメイクがいつもと違ってたんだよ」
「マジっすか。よくわかりますね」
「まあな。つーかやっぱ、織部は可愛いよな」
「はい。そういえば最近明石さんと一緒にいないですよね。別れたんですかね」
「どうだろう。でも別れたんなら飲みにでも誘ってみるか」
「彼女いるじゃないっすか。俺に誘わせてくださいよ」

‥‥‥どうしてこの二人はいつもいつもここでしゃべってんだよ。
働けよ、働け!

はあ…と溜息を一つ吐いて休憩所に入る。

「お疲れ~」
「あ、お疲れ様です」
「お疲れ様です」
二人はちらりと目を合わせて休憩所から出て行こうとした。

「あ、それからさ」と呼び止めて、
「喧嘩もしてないし、別れてもないから」
と言った。
「冗談ですよ。織部さんのこと誘ったりしませんよ」
「そうそう、俺は彼女一筋ですし」
そう言って二人はそそくさと休憩所を後にした。

俺は別れてもなければ、付き合ってもないけどな。

そう心の中で呟いて、ポケットからスマホを出した。
「もしもし宮都の明石です。お世話になります。今、よろしいですか?」


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