「逢いたい」でいっぱいになったなら~私の片想いが終わるとき

遅すぎた告白のあと【明石健】

美琴を駅まで送った俺は、残った仕事を片付けるために会社に戻ることにした。

はあああぁぁぁぁぁ。
歩きながら深い溜息が漏れる。

告白してしまった。
磯ヶ谷さんと付き合い始めたと聞いて、諦めたはずだったのに。
遅すぎる告白をして、玉砕。


昨夜遅くに花から電話がかかってきた。
『言うか悩んだんだけど』
と前置きをしてから始まった長い話は美琴についてだった。
そして花は
『健、美琴のこと好きだったんでしょ?
美琴だって健のこと絶対に好きだって、私何度も言ったのに。
同じ会社にいて、しかも仕事で接点はたくさんあったのに、今まで何してたの?』
と、会心の一撃的攻撃をくらわし、俺はダメージでぼろぼろになった。
挙句に、
『多分、コウさんも健の気持ちに気がついたみたいだった。
それに、何となく二人がギクシャクしてた』
とも言った。

通話を切った後も気になって仕方がなかった。
悶々としながら眠れない一夜を送った俺は、今朝、美琴が泣きはらした目をしていたのを見て、昨夜磯ヶ谷さんと何かあったのだと確信した。

磯ヶ谷さんに美琴のことを頼んだのにと思うと、怒りが沸々と湧いてきてどうしようもなかった。
しかし同時にその喧嘩の原因が自分に合ったのだろうと思いと居た堪れない。

そして、心の中の悪い俺がこう囁いた。
『今がチャンスなんじゃないか?
磯ヶ谷さんともめてるうちに、美琴のことかっさらっちゃえよ』と。



まあ、結果は玉砕。

はあああぁぁぁぁぁ。



何となく直接営業室に戻りたくなくて、休憩所でコーヒーを飲んでから行くことにした。

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