「逢いたい」でいっぱいになったなら~私の片想いが終わるとき
「美琴」
名前を呼ばれて振り返る。
健が近寄って来る。

再び目をじっと見つめれらる。
この揺れる視線を反らしたら、気付かれる。
健は目を見て話す人だから。

「…気のせいか」
と呟いた健は
「明日も仕事だろ?話したいことあるから、明日の夕飯一緒に食べないか?」
と言った。

「…うん。わかった」
逃がしてくれない健。
私の胸はズキンと痛んだ。

逃げてちゃダメってことだよね。
先に。先に言ってしまおう!

「た、健!」
「ん?」

「花ちゃんの話聞いた!」
「ああ。そうなんだ」
声が上擦る私に対し、健は真っ直ぐ私を見つめ返して、ふわっと微笑んだ。

「うん。おめでとう!」
「え?あ、ああ」

「花ちゃんにお幸せにって伝えて!」
「あー。うん、伝えとくけど、直接言った方がいいんじゃないか?」

「あ、そか。うん。そうだよね。うん。またメッセージ送っておくね」
「うん。その方が花も喜ぶと思うよ」

「それじゃ!お疲れ様!」
「ああ。お疲れ。気を付けて帰れよ」

「うん!ありがとう!」
私は笑顔を見せた。
幸せになってねと言う気持ちを込めて、ちゃんと笑った。
そして、手を振って背を向ける。

良かった。ちゃんと言えた・・・。

こちらを向いて待っている山口さんのところへ小走りで近づく。


「「お先に失礼しますー」」
とまだ残っている人たちにも声をかけながら会社を後にした。


   ✳

駅までの道を2人で話しながら帰る。
山口さんは展示会準備をするのはまだ2回目だったから、仕事の話ばかりをしていた。
山口さんはさっきに二人の会話について何も触れないでくれた。
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