「逢いたい」でいっぱいになったなら~私の片想いが終わるとき

着信

着信履歴ーーー健。

健の名前を見た瞬間、ぼろぼろと涙が零れた。
忘れようとしてるのに、どうして電話なんてかけるの?




コウさんは脱いだパーカーを私の背中に掛け、部屋を出た。
ドアの閉まる音。

私は健に電話を掛けた。

『美琴?』
「うん。どうしたの?」

『ちゃんと家に着いたか?』
「うん。大丈夫、着いてるよ」

『それならいいんだ。美琴んちのあたり、金曜日の夜って酔ったヤツが多いから気になってさ』
「そっか。心配してくれてありがとう」

『なんか、声おかしくないか?』
「‥‥寝てたから」

『ごめん。起こしちゃったな』
「うん」

『じゃ、おやすみ』
「おやすみなさい」

心配なんてしないで。
結婚するなら花ちゃんだけに優しくすればいいのに。
こんな風に心配してさ。連絡してきてさ。
必死になって諦めようとしてるのに、これじゃ忘れることなんてできないよ。

通話が切れたスマホを握りしめて、また私は泣いてしまうのだった。

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