「逢いたい」でいっぱいになったなら~私の片想いが終わるとき
「ずっと好きな人がいたの。
でもその人には彼女がいて、私は可愛がってはもらっていたけど、ただの後輩で。もしかしたら、妹みたいに心配とかされてて。
だから、さっきもちゃんと帰れたかって心配して電話してきてくれたりして。
その人が、結婚するって聞いて。
相手も私の知り合いで、素敵な人で。二人はもうずっと付き合ってて。
ずっと失恋してたみたいなものだけど、これは本格的な失恋だなって」
滲んでくる涙を何度も瞬きして消した。
「ふーーーーー」
深呼吸する。
「でも、私、二人のこと大好きだから、ちゃんとお祝いしたいって思ったの。
それで、今日、おめでとうって言ったの。
言えたって思って。
やっと忘れようって、思えるようになれたのに…さっきみたいに…心配されて、電話とか来ると…あまりにすぐ過ぎて……気持ちが‥‥ぐちゃぐちゃになっちゃった‥‥‥はあーーー」
俯いていた視線をコウさんに向けた。
「ほら。こんなんだもん。やっぱり後悔したでしょ?」
目の前に座るコウさんを見つめた。
涙が一粒、落ちた。
コウさんは涙の後を消すかのように、手を伸ばしてそっと頬を撫でた。
そして私が持っているマグカップを取り上げて、2つ一緒にテーブルに置いた。
私のことを毛布ごと抱きしめた。
「苦しかったな。
好きになるのは止められないもんな。
止めたくても止まんないの、分かるよ」
毛布越しに背中をポンポンと撫でてくれる。
慰められているこの優しい手が気持ちよくて、癒されていることに気が付く。
「美琴」
「ん」
「両想い絶対主義の苦しい恋愛なんて、もう止めちゃえよ?」
「…両想い、絶対主義?」
「そう」
「……」
「お互いに両想いになって、告白して、付き合うのは一番理想だと思うよ。
でもさ、いいかもーとか、好きになるかもーって付き合いだして、そこからだんだん好きになってくっていう、恋愛だってあると思う。
美琴と知り合ってからまだ日が浅いけどさ、俺、美琴が好きだよ。
俺のこと嫌いじゃないならさ、付き合ってみないか?」
「え?」
「まずは俺の彼女になって、ゆっくり両想いにならないか?」
ゆっくりと両想いになる?
そんな恋愛あるの?
コウさんは本当にいいの?
「どう?」
「‥‥コウさんは、いいの?」
「いいに決まってる」
本当にいいのだろうか?
あとで後悔しないだろうか?
「不安だったり、恐かったりするかもしれないけどさ」
「うん」
「一緒に過ごす楽しいとか幸せって思うような未来を想像してみて」
コウさんと過ごす未来‥‥‥。
「俺と一緒にいよ?ほら、うんって言ってみな」
「・・・・うん」
「よっしゃー。めちゃくちゃうれしい!
ありがとう、美琴」
ぎゅうっと抱きしめたコウさんは、ガバっと離れて、
「これ、邪魔!誰、これ巻いたの?!」
と言って、毛布を引っ張った。
「あはは、コウさんだよ!」
「俺かー俺だー」
「ええい!」
と引っぺがそうとする掛け声は大胆だったけれど、巻き付いた毛布を丁寧にはがしたコウさんは、嬉しそうに笑って、
「大好きだよ」
と優しく抱きしめてくれた。
コウさんの熱を感じてドキドキする。
私もコウさんを抱きしめ返す。
まだ胸は痛むけれど、きっと私はコウさんを好きになると思った。
でもその人には彼女がいて、私は可愛がってはもらっていたけど、ただの後輩で。もしかしたら、妹みたいに心配とかされてて。
だから、さっきもちゃんと帰れたかって心配して電話してきてくれたりして。
その人が、結婚するって聞いて。
相手も私の知り合いで、素敵な人で。二人はもうずっと付き合ってて。
ずっと失恋してたみたいなものだけど、これは本格的な失恋だなって」
滲んでくる涙を何度も瞬きして消した。
「ふーーーーー」
深呼吸する。
「でも、私、二人のこと大好きだから、ちゃんとお祝いしたいって思ったの。
それで、今日、おめでとうって言ったの。
言えたって思って。
やっと忘れようって、思えるようになれたのに…さっきみたいに…心配されて、電話とか来ると…あまりにすぐ過ぎて……気持ちが‥‥ぐちゃぐちゃになっちゃった‥‥‥はあーーー」
俯いていた視線をコウさんに向けた。
「ほら。こんなんだもん。やっぱり後悔したでしょ?」
目の前に座るコウさんを見つめた。
涙が一粒、落ちた。
コウさんは涙の後を消すかのように、手を伸ばしてそっと頬を撫でた。
そして私が持っているマグカップを取り上げて、2つ一緒にテーブルに置いた。
私のことを毛布ごと抱きしめた。
「苦しかったな。
好きになるのは止められないもんな。
止めたくても止まんないの、分かるよ」
毛布越しに背中をポンポンと撫でてくれる。
慰められているこの優しい手が気持ちよくて、癒されていることに気が付く。
「美琴」
「ん」
「両想い絶対主義の苦しい恋愛なんて、もう止めちゃえよ?」
「…両想い、絶対主義?」
「そう」
「……」
「お互いに両想いになって、告白して、付き合うのは一番理想だと思うよ。
でもさ、いいかもーとか、好きになるかもーって付き合いだして、そこからだんだん好きになってくっていう、恋愛だってあると思う。
美琴と知り合ってからまだ日が浅いけどさ、俺、美琴が好きだよ。
俺のこと嫌いじゃないならさ、付き合ってみないか?」
「え?」
「まずは俺の彼女になって、ゆっくり両想いにならないか?」
ゆっくりと両想いになる?
そんな恋愛あるの?
コウさんは本当にいいの?
「どう?」
「‥‥コウさんは、いいの?」
「いいに決まってる」
本当にいいのだろうか?
あとで後悔しないだろうか?
「不安だったり、恐かったりするかもしれないけどさ」
「うん」
「一緒に過ごす楽しいとか幸せって思うような未来を想像してみて」
コウさんと過ごす未来‥‥‥。
「俺と一緒にいよ?ほら、うんって言ってみな」
「・・・・うん」
「よっしゃー。めちゃくちゃうれしい!
ありがとう、美琴」
ぎゅうっと抱きしめたコウさんは、ガバっと離れて、
「これ、邪魔!誰、これ巻いたの?!」
と言って、毛布を引っ張った。
「あはは、コウさんだよ!」
「俺かー俺だー」
「ええい!」
と引っぺがそうとする掛け声は大胆だったけれど、巻き付いた毛布を丁寧にはがしたコウさんは、嬉しそうに笑って、
「大好きだよ」
と優しく抱きしめてくれた。
コウさんの熱を感じてドキドキする。
私もコウさんを抱きしめ返す。
まだ胸は痛むけれど、きっと私はコウさんを好きになると思った。