「逢いたい」でいっぱいになったなら~私の片想いが終わるとき
おかえり【好きが止まらないコウさんの話】
「ただいま」
と言って玄関で靴を脱ぐ美琴が持つ鞄を持った。
「重いよ?」
「重いならなおさら持つでしょ…何入れてきた?」
重くはないけれど、大きくパンパンに膨らんだ鞄を見た。
「え?いろいろ…パジャマとか明日の服とか」
うんうん。
「…タオル…とか忘れ物しないようにって思ったらあれもこれもと大荷物になりまして」
うん?タオル?
うちにもあるし。
忘れ物しても美琴の家はすぐそこなのに、この子は一体何を持ってきているんだ?
「次からはタオルとかうちにあるものは俺のを使えばいいよ」
「あ…あ、そっか。そうだよね!あははは。なんか、緊張しちゃって。いろいろ持ってきちゃった」
笑う美琴からお風呂上がりの香りがした。
「美琴、もしかしてお風呂入ってきたの?」
「うん。汗かいちゃったから」
手を伸ばして髪に触れる。少し湿気を帯びた髪が冷たくなっていた。
「まだ少し髪が濡れてるよ」
「え?」
「はい、そこに座る」
ソファに座らせて、ドライヤーを取りに行った。
隣に腰かけ、二人で横向きにソファーに座る。
ブオ――――という音をさせながら髪を乾かす。
しっとりとした艶やかな髪から、美琴の香りがする。
指の間を髪が通り抜ける。
白い首筋が色っぽい。
お風呂上がりのせいか、それとも緊張しているのか耳の後ろがほんのりと赤い……どうしよう…舐めたい。
「おいしい香りがする」
「え?」
美琴の声で我に返る。
「ん?聞こえなかった、何?」
ドライヤーを止めて耳を舐めたいなんて思っていたことをごまかした。
「夜ごはんのいい香りがする。メニューは何?」
そいうって美琴は振り返って、俺を見た。
目が合って、「あ」って顔をして目を逸らされた。
ちょっとショックだ。
ゆっくりと視線が戻った。
美琴と視線が合う。
美琴の視線が揺れる。
けれど、今度は視線がそらされることはなかった。
「美琴…」
吸い込まれるようにキスをしていた。
止めることができなくて、舌を絡める。
ソファに押し倒し、深く深く口づける。
遠慮がちな美琴の舌使いがもどかしくて激しく口内を弄る。
「んっ」
美琴の鼻にかかる声に理性がぶっ飛ぶ。
白い首筋に舌を這わせ、耳裏を舐めあげる。
「あ、ま、待って、コウさ」
「待てない」
美琴の声を遮って服の上から胸を揉む。
美琴が俺の袖をクンと引っ張った。
俺は耳たぶを食んだ。
美琴はもう一度袖を引いて、
「あの、あのね。私、初めてなの」
と言った。
え?
ピタリと身体が止まった。
ゆっくりを顔を上げ美琴と見下ろした。
俺の腕の間で体を小さくした美琴が、顔を赤くしている。
「あの…私、男の人とそういうことするの初めてで。だから、ここだと汚れちゃう‥‥あ、それで…タオルを‥‥持ってきてて‥‥」
逸らした目に涙が滲むのが見えた。
あ・・・やってしまった。
初体験《はじめて》の美琴相手《すきなこ》に思いっきりがっついて恐がらせてしまった。
「ごめんなさい」
再び俺を見つめる美琴に謝られた。
うわあ、拒否られた・・・拒否って当然だよな。
起き上がろうとした時、美琴が袖を引っ張った。
「やっぱり引いた?嫌いになった?」
「嫌いになんてなるわけないだろ?
むしろ止められなくてがっついてごめんな」
美琴が左右に首を振り、その瞳から涙が零れた。
ああ。美琴は泣き顔も綺麗だな。
そう思うと気付かないうちに口元が笑ってしまっていた。
ゆっくりと美琴を支えながら体を起こさせる。
目の横に流れた涙の跡を指で拭う。
「大好きだよ、美琴」
「うん。…私も好き」
そっと抱きしめた。
美琴も俺の背に手を回して抱きしめてくれた。
愛おしさがこみ上げる。
「美琴、いきなり押し倒してごめんね」
腕の中で美琴はブンブンと首を振った。
「やりなおしていい?」
「え?」
抱き合った手をゆっくりと放して見つめ合う。
「やり直したい、さっき部屋に来た時から」
美琴が不安そうに眉をひそめた。
「おかえりって言って、ただいまって言って、ご飯食べて、風呂入って。
あ、風呂に入るのは俺だけだけか。
で、一緒にお茶飲んで、おしゃべりして‥‥俺に抱かれて?」
美琴が俺に手を伸ばし、その腕が首に回された。
「うん」
小さく、でもはっきりと美琴はうなずいた。
首に巻き付いた腕に力が入る。
「コウさん、好き」
「好きだ、美琴」
俺は美琴の背中に手を回し、ぎゅうっと抱きしめた。
と言って玄関で靴を脱ぐ美琴が持つ鞄を持った。
「重いよ?」
「重いならなおさら持つでしょ…何入れてきた?」
重くはないけれど、大きくパンパンに膨らんだ鞄を見た。
「え?いろいろ…パジャマとか明日の服とか」
うんうん。
「…タオル…とか忘れ物しないようにって思ったらあれもこれもと大荷物になりまして」
うん?タオル?
うちにもあるし。
忘れ物しても美琴の家はすぐそこなのに、この子は一体何を持ってきているんだ?
「次からはタオルとかうちにあるものは俺のを使えばいいよ」
「あ…あ、そっか。そうだよね!あははは。なんか、緊張しちゃって。いろいろ持ってきちゃった」
笑う美琴からお風呂上がりの香りがした。
「美琴、もしかしてお風呂入ってきたの?」
「うん。汗かいちゃったから」
手を伸ばして髪に触れる。少し湿気を帯びた髪が冷たくなっていた。
「まだ少し髪が濡れてるよ」
「え?」
「はい、そこに座る」
ソファに座らせて、ドライヤーを取りに行った。
隣に腰かけ、二人で横向きにソファーに座る。
ブオ――――という音をさせながら髪を乾かす。
しっとりとした艶やかな髪から、美琴の香りがする。
指の間を髪が通り抜ける。
白い首筋が色っぽい。
お風呂上がりのせいか、それとも緊張しているのか耳の後ろがほんのりと赤い……どうしよう…舐めたい。
「おいしい香りがする」
「え?」
美琴の声で我に返る。
「ん?聞こえなかった、何?」
ドライヤーを止めて耳を舐めたいなんて思っていたことをごまかした。
「夜ごはんのいい香りがする。メニューは何?」
そいうって美琴は振り返って、俺を見た。
目が合って、「あ」って顔をして目を逸らされた。
ちょっとショックだ。
ゆっくりと視線が戻った。
美琴と視線が合う。
美琴の視線が揺れる。
けれど、今度は視線がそらされることはなかった。
「美琴…」
吸い込まれるようにキスをしていた。
止めることができなくて、舌を絡める。
ソファに押し倒し、深く深く口づける。
遠慮がちな美琴の舌使いがもどかしくて激しく口内を弄る。
「んっ」
美琴の鼻にかかる声に理性がぶっ飛ぶ。
白い首筋に舌を這わせ、耳裏を舐めあげる。
「あ、ま、待って、コウさ」
「待てない」
美琴の声を遮って服の上から胸を揉む。
美琴が俺の袖をクンと引っ張った。
俺は耳たぶを食んだ。
美琴はもう一度袖を引いて、
「あの、あのね。私、初めてなの」
と言った。
え?
ピタリと身体が止まった。
ゆっくりを顔を上げ美琴と見下ろした。
俺の腕の間で体を小さくした美琴が、顔を赤くしている。
「あの…私、男の人とそういうことするの初めてで。だから、ここだと汚れちゃう‥‥あ、それで…タオルを‥‥持ってきてて‥‥」
逸らした目に涙が滲むのが見えた。
あ・・・やってしまった。
初体験《はじめて》の美琴相手《すきなこ》に思いっきりがっついて恐がらせてしまった。
「ごめんなさい」
再び俺を見つめる美琴に謝られた。
うわあ、拒否られた・・・拒否って当然だよな。
起き上がろうとした時、美琴が袖を引っ張った。
「やっぱり引いた?嫌いになった?」
「嫌いになんてなるわけないだろ?
むしろ止められなくてがっついてごめんな」
美琴が左右に首を振り、その瞳から涙が零れた。
ああ。美琴は泣き顔も綺麗だな。
そう思うと気付かないうちに口元が笑ってしまっていた。
ゆっくりと美琴を支えながら体を起こさせる。
目の横に流れた涙の跡を指で拭う。
「大好きだよ、美琴」
「うん。…私も好き」
そっと抱きしめた。
美琴も俺の背に手を回して抱きしめてくれた。
愛おしさがこみ上げる。
「美琴、いきなり押し倒してごめんね」
腕の中で美琴はブンブンと首を振った。
「やりなおしていい?」
「え?」
抱き合った手をゆっくりと放して見つめ合う。
「やり直したい、さっき部屋に来た時から」
美琴が不安そうに眉をひそめた。
「おかえりって言って、ただいまって言って、ご飯食べて、風呂入って。
あ、風呂に入るのは俺だけだけか。
で、一緒にお茶飲んで、おしゃべりして‥‥俺に抱かれて?」
美琴が俺に手を伸ばし、その腕が首に回された。
「うん」
小さく、でもはっきりと美琴はうなずいた。
首に巻き付いた腕に力が入る。
「コウさん、好き」
「好きだ、美琴」
俺は美琴の背中に手を回し、ぎゅうっと抱きしめた。