「逢いたい」でいっぱいになったなら~私の片想いが終わるとき
誠実【コウさんだって嫉妬する】
この1週間、美琴の仕事が忙しすぎてほとんど会うことができなかった。
展示会の前が忙しく、いざ始まってしまえば、『たかが知れた忙しさ』とは言っていた。
そして、今日。俺は美琴の会社の展示会に行く。
商談はもちろんだが、明石さんに確認したいことがある。
*
「お久しぶりです、磯ヶ谷さん。今日はご足労いただきありがとうございます」
「こちらこそ、お時間取っていただきありがとうございます、明石さん」
にこやかに商談は始まった。
分かりやすい商品説明。
尋ねるとすぐに出てくる資料と商品知識。
どれだけ下準備をしているのだろう。
商品の良いところだけでなく欠点も伝えてくれるので、こちらとしても助かる。
『誠実』
見た目がよくて話題が豊富な明石さんの最大の魅力は、外見ではなく、真面目で誠実な仕事ぶりだと思う。
それを身近で見ていた美琴が明石さんに惚れてしまうのも仕方のないことなのかもしれない。
俺は美琴の好きな人は明石さんだと思っている。
だからこそ、確認しておきたい。
「明石さん、ご結婚されるんですって?」
聞いたところでどうにかなることではない。
むしろ、嫉妬してしまうのだろう。
けれど、確認しないではいられなかった。
まだ美琴の心の中にいる男の存在を。
「え?結婚…ですか?」
「ええ。おめでとうございます」
「いやいや、違いますよ」
「え?」
慌てて否定する明石さんに驚いた。
「その話、美琴から聞いたんですよね。
結婚するのは、美琴の大学時代の先輩の女性と、私の兄ですよ」
「え?そうなんですか?」
「はい。私は相手もいないのでまだまだ先になりそうです」
「それは失礼しました。私の早とちりのようですね。
お兄さんのご結婚、おめでとうございます」
どうやら、美琴の相手は明石さんではないということか…。
「ありがとうございます。‥‥磯ヶ谷さんは…ご結婚、考えていらっしゃるんですか?」
「‥‥‥まだ付き合い出したばかりですが、いずれそうなるかもしれません」
「そうですか…美こ…織部のことは大学時代から良く知っていますが、あいつは気が強そうに見えて、結構弱いんですよ」
「ええ」
「周りにばかり気を使って、自分のことは後回しで…。
誰か困っている人がいると助けないわけにはいかない、そんな優しいヤツで頑張り屋で泣き虫で…。
あ、あとは食事をめんどくさがるところがあるのできちんと食べさせてください‥‥って、何言ってんですかね。ははは」
「いえ」
「でも、美琴は俺にとって、とても大切な…後輩です。
泣くことのないように、大切にしてやってください。
お願いします」
そう言って明石さんは頭を下げた。
「はい。もちろんです」
もし美琴が好きな人が明石さんなら、俺は
叶わないかもしれなかったな。
あぶねえ、あぶねえ。
それなら、美琴をフッた男は一体誰なのだろう?
でも…もし…もしも、美琴も明石さんが結婚すると勘違いしていたとしたら?
「明石さん」
「はい?」
「明石さんは美琴のことが好きなんですか?」
「え?‥‥そうですね…もう、昔のことですよ」
と爽やかに笑った。
展示会の前が忙しく、いざ始まってしまえば、『たかが知れた忙しさ』とは言っていた。
そして、今日。俺は美琴の会社の展示会に行く。
商談はもちろんだが、明石さんに確認したいことがある。
*
「お久しぶりです、磯ヶ谷さん。今日はご足労いただきありがとうございます」
「こちらこそ、お時間取っていただきありがとうございます、明石さん」
にこやかに商談は始まった。
分かりやすい商品説明。
尋ねるとすぐに出てくる資料と商品知識。
どれだけ下準備をしているのだろう。
商品の良いところだけでなく欠点も伝えてくれるので、こちらとしても助かる。
『誠実』
見た目がよくて話題が豊富な明石さんの最大の魅力は、外見ではなく、真面目で誠実な仕事ぶりだと思う。
それを身近で見ていた美琴が明石さんに惚れてしまうのも仕方のないことなのかもしれない。
俺は美琴の好きな人は明石さんだと思っている。
だからこそ、確認しておきたい。
「明石さん、ご結婚されるんですって?」
聞いたところでどうにかなることではない。
むしろ、嫉妬してしまうのだろう。
けれど、確認しないではいられなかった。
まだ美琴の心の中にいる男の存在を。
「え?結婚…ですか?」
「ええ。おめでとうございます」
「いやいや、違いますよ」
「え?」
慌てて否定する明石さんに驚いた。
「その話、美琴から聞いたんですよね。
結婚するのは、美琴の大学時代の先輩の女性と、私の兄ですよ」
「え?そうなんですか?」
「はい。私は相手もいないのでまだまだ先になりそうです」
「それは失礼しました。私の早とちりのようですね。
お兄さんのご結婚、おめでとうございます」
どうやら、美琴の相手は明石さんではないということか…。
「ありがとうございます。‥‥磯ヶ谷さんは…ご結婚、考えていらっしゃるんですか?」
「‥‥‥まだ付き合い出したばかりですが、いずれそうなるかもしれません」
「そうですか…美こ…織部のことは大学時代から良く知っていますが、あいつは気が強そうに見えて、結構弱いんですよ」
「ええ」
「周りにばかり気を使って、自分のことは後回しで…。
誰か困っている人がいると助けないわけにはいかない、そんな優しいヤツで頑張り屋で泣き虫で…。
あ、あとは食事をめんどくさがるところがあるのできちんと食べさせてください‥‥って、何言ってんですかね。ははは」
「いえ」
「でも、美琴は俺にとって、とても大切な…後輩です。
泣くことのないように、大切にしてやってください。
お願いします」
そう言って明石さんは頭を下げた。
「はい。もちろんです」
もし美琴が好きな人が明石さんなら、俺は
叶わないかもしれなかったな。
あぶねえ、あぶねえ。
それなら、美琴をフッた男は一体誰なのだろう?
でも…もし…もしも、美琴も明石さんが結婚すると勘違いしていたとしたら?
「明石さん」
「はい?」
「明石さんは美琴のことが好きなんですか?」
「え?‥‥そうですね…もう、昔のことですよ」
と爽やかに笑った。