「逢いたい」でいっぱいになったなら~私の片想いが終わるとき

甘い夜

3日間の展示会も無事に終わった。
明日は代休で私は休みだ。

今日は残業をすることなく、早々に退勤する。

電車を降りた私は待ち合わせ場所のコーヒーショップに急いだ。
店にはついたけれど、コウさんからの連絡はまだなかった。
流石にまだ仕事なのだろう。
急かすのも申し訳ないのでもう少ししてから連絡を入れよう。

2階のソファ席に座り、テーブルにスマホを置く。
イヤホンで音楽を聴きながら、コーヒーを飲む。

会ってコウさんとちゃんと会うのは久しぶり。

残業で遅くなるから、コウさんがわざわざ駅まで来てくれて、私の家まで一緒に手を繋いで送ってくれた。ほんの15分のデートを毎日していた。
申し訳ないから迎えに来なくていいと言うと、ものすごく悲しまれた。
フフッ。
あの日のコウさん、可愛かったな。

「何、笑ってるの?」
「あ。コウさん」

テーブルに手を付いたコウさんが私を見おろしていた。
「おかえり」
と言うと、嬉しそうに笑って、
「ただいま」
と言った。

コウさんは向かいの椅子に座った。
長い足が少しはみ出していて、背の高いコウさんには少し窮屈そうに見えた。

「待ったでしょ?」
「ううん、そんなに待ってないよ。でも、嬉しくてちょっと早く来すぎちゃった」

「嬉しい?」
「うん、いつもコウさんに待ってもらってるでしょ?
今日は私が待てるのが嬉しいの」

「俺は美琴に会えて嬉しい。今日はゆっくりできるんでしょ?」
「うん。明日は代休もらえてるから」

「よっしゃ。じゃ、今日はお泊り?」
「うん…なんか…恥ずかしいなぁ」
「あはは」

両肘をついて顎の前で指を組む。
真っ直ぐに私を見つめる瞳は、優しくて、甘い。
時々楽しそうに笑う笑顔が可愛い。

「行こうか」
「うん」

コーヒーショップを出て、手を繋いで歩きだした。


< 68 / 109 >

この作品をシェア

pagetop