「逢いたい」でいっぱいになったなら~私の片想いが終わるとき
私はその横を並んで歩いた。

飲み物を買うまで握られていた手首は、もうとっくに離れていた。

「ここの自販機にあるって知るまで兄貴のところで買ってたからな」
と言う健に、気になっていたことを尋ねた。

「それって...私にくれるために買ってたの?」
「ん?んー……そうだよ」

その間はなに?
その少しの時間で何を考えたの?
つい小首を傾げてしまった。
健は私を見てくすりと笑った。


「美琴が好きだったからな」

「え?」

「兄貴のとこ行って、たまたま見つけてさ。
そういえば美琴がハチミツレモン、好きだったよなって思い出して、喜ぶかなって思って買っていったら、めちゃくちゃ喜んだんだよ」

ああ、びっくりした。
私がハチミツレモンを好きだって話ね。
言い方がよろしくないよと、速くなってしまった心臓を撫でた。

「そんな昔の話、美琴はもう覚えてないかもしれないけどさ」

ううん、覚えてる。
健が私の好きな飲み物を覚えていてくれたことが嬉しくて、飲むのがもったいなくてなかなか飲めなかった。そしたら、健がまた買ってきてやるよって笑ったんだ。
つい昨日のことのように思い出せることに驚いた。

「好きな子の喜ぶ顔が見たくて、用事もないのに兄貴のところに行って買いだめしてたんだよ」

健、はっきりと今、『好きな子』って言った!?
えええエエエ!?!?

す、す、す、好きぃ!?!?

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