苦くも柔い恋
ボッと音を立てそうな勢いでまた赤くなる。
あんな無理矢理なキスなんて嫌な記憶でしか無いはずなのに、勝手に熱を上げてしまう体が余計恥ずかしい。
怒りと羞恥で言葉は出ないのに口をぱくぱくさせていると、千晃はフイとまた背を向けた。
「…理性でどうにか保ってるだけだ。ヤられたくなきゃさっさと布団入れ」
「っ!」
言われずとも、と言わんばかりに勢いよく頭まで布団をかぶった。
間も無くして千晃がて部屋の電気を落とし、部屋は静寂に包まれた。
——もう、訳がわからない
相変わらず心臓は激しく音を立てており、眠気の"ね"の字も顔を出してはくれない。
可愛いとか、好きとか、初恋だとか。
いっそこれか夢か幻だと言われた方がまだ信じられるくらいにあまりに衝撃的で、頭がどうにかなりそうだった。
それより何より驚いたのは、千晃から襲うと言われた時に拒絶反応が出なかった事。
もし本当に押し倒されていたとしたら、流されてしまったのかと思うととてもじゃないけれど自分が信じられなかった。
——まさか、私は…
一瞬過った言葉を振り払い、ぎゅっと強く目を閉じた。
何度も何度も否定の言葉を自分に言い聞かせているうちに夜は更け、眠りについたのは真夜中を過ぎての頃だった。