苦くも柔い恋


「橋本お疲れ。これ前に確認依頼されてた生徒のカリキュラム。見直すところ付箋貼っといたから確認しといて」

「ありがとうございます。…訂正、休み明けでもいいですか」

「おーいいぞ。相当くたびれてんな」

「通常授業に加えての午前授業が続いたので流石にクタクタです。何度経験してもこの時期の忙しさには慣れません」

「それは仕方ねえな。受験生にとっちゃこの夏が最後の伸び代になるチャンスなんだし」

「そうですね。1人でも多く志望校に合格して欲しいです」


香坂から書類の束を受け取り、サッとだけ目を通してファイルに挟んだ。

これから反省会も兼ねたミーティングが残っているが、この後の休みを思うといつもに増してやる気が起きないものである。


「おーい皆、ちゃちゃっとミーティング済ませてサッサと帰るぞ〜」


最後に部屋に入ってきた塾長が部屋全体にそう声をかけ、それぞれだらけかけた姿勢を正してデスクに向き直る。

考えることは皆同じだな、と内心で思いながら和奏も自身のクラス状況の報告を述べ、今後の対策と方針を軽く固めたところでようやっと業務終了となった。


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