苦くも柔い恋
まさかこんなところでキスをされるのか、そう思って咄嗟に目をつぶり身を固くすると、予想外にもゴン!と額をぶつけられた。
「いっ…たあ!」
手加減はしているだろうがそれでも痛い。
ジンジンする額を押さえながら睨むと千晃はフンと鼻を鳴らした。
「こんな簡単に隙を突かれるくせに、ホイホイ男について行くな」
「ホイホイだなんて…」
「じゃあなんでさっき目ぇ閉じた?あのままだとどうなってたかくらい分かるよな?」
「そ、それは…」
咄嗟の行動だったからどうしてと聞かれてもわからない。
答えが出せず黙り込んでいると、千晃から深いため息が聞こえた。
「…言っとくけど、お前の行動全部悪手だからな」
「悪手?」
「煽ってるようにしか見えねえってことだ」
「!?煽っ…なんで!?」
言わずもがなこちらにそんなつもりは毛頭ない。
あまりにも人聞きが悪過ぎる台詞は聞き逃せなかった。