苦くも柔い恋





今の千晃。
確かに昔の彼と今の彼は違う。

外見だって少年のようなあどけなさはもう欠片も残っていないし、身体だってあの頃より逞しくなった。


思った事を全部言うという宣言の通り、素直に紡がれる自分へ向けた恋とも呼べる言葉に心が揺れ動いているのも確かだった。

けれどそれを、受け入れる勇気はまだ持てない。


結局のところ、怯えているだけなのだ。
また昔のように辛い日々を過ごす事になるんじゃないかって。

千晃の気持ちを受け入れた途端、これまでが嘘のように態度を翻されるんじゃないかって。


情けない話だけれど、何年過ぎようと未だ高校の3年間のトラウマを克服できていなかった。


このまま受け入れるべきか拒絶するべきか。
答えはまだ、出すことができない。







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