苦くも柔い恋
「ん…」
なんだか今朝は酷く夢見が悪かった気がした。
内容は覚えていないけれど、目が覚めた時にはひどく汗をかいていた。
喉が渇いた。水が飲みたい。
そう思い重い体を起こすと、視界に入ってきた千晃の背中にドキリと心臓が跳ねた。
『今の俺を見てくれ』
昨日言われたその言葉に返事は返さなかった、否、返せなかった。
千晃の言葉を信じていいのか、分からなかったから。
「起きたか」
千晃の視線がこちらへ向き、はっと我に返る。
そうだった、この男は今日から何日もうちに泊まるのだ。
許可なんてしていないのに、昨晩持って入ってきた荷物の量を見てこれは本気なのだとひとまず諦めるしかなかった。
かといって、いくらなんでも1週間は長い。
機を見て早めに帰ってもらえるよう打診するか…、そんな考えが過った時に見えた千晃の手元のものに和奏は首を傾げた。