苦くも柔い恋
千晃は立ち上がると慣れた手つきで冷蔵庫から麦茶を取り出し、コップに注いで渡してきた。
ここ何ヶ月も週末は居着いているのだから当たり前と言えばそうなのだが、なんとも不思議な気分だ。
「ありがと…」
受け取ったコップの中の麦茶を半分程飲み、小さく息を吐く。
その間千晃はずっと和奏を見つめていたが、二度目を一向にコップに口をつけない様子を見て眉を寄せ、話を振った。
「和奏、何か思ってる事あるなら言え」
「え?」
「顔に出てる」
「……」
本当に変わったものだ。
以前はどれほど望んでも気付いてくれなかったくせに。
「…美琴も、同じ会社なの?」
双子のカンというものなのか、和奏にはなんとなくその予感があった。
千晃が行くというだけで大学まで同じところを選んだのだから、就職もきっとそうすると思った。