苦くも柔い恋
声を落としてそう聞くと、千晃は少しだけ間を置いて答えた。
「みたいだな」
「みたいって…」
なんでそんな他人事なんだと視線を向ける。
すると千晃は意外すぎる台詞を口にした。
「美琴とはあの日以来、まともに話すらしてねえからな」
「え…?」
うそ、と声が漏れた。
あれほどいつも一緒にいて密に連絡も取り合っていたのに、そんな事を容易に信じられるほど単純ではない。
けれど千晃の表情はどこまでも真剣だった。
「嘘じゃねえ。和奏が部屋出ていった後喧嘩になってそれきりだ」
「喧嘩?なんで…?」
「俺と和奏が付き合ってるの知っててあんな嘘吹き込んだんだ。腹も立つだろ」
「えっ…!?美琴、知ってたの?」
美琴が千晃との関係を知っていたなんて初耳だ。
和奏から美琴には言っていない。
なんとなく美琴も千晃の事を好きでいる気がしたから言えなかった。
なのに、どうして。