苦くも柔い恋



千晃の言葉が本当ならば、今現在2人はほとんど交流が無いことになる。

到底信じられない事ではあったし懸念はいくつもあるけれど、今目の前にいる千晃の存在が全てを物語っている気がした。


美琴すら知らない和奏の居場所を見つけて、拒絶されながらそれでも尚この場に居座ろうとする千晃に。


「和奏に逃げられたのは俺の所為だから、あいつを恨む資格は無い。…それでも嫌だったんだよ、和奏が居ない事実を突きつけられるみてえで」

「……」

「もう一度言うが、俺は美琴にそんな気を持った事は無いし、思わせぶりな態度を取ったつもりもない。それだけは断言する」


言うと千晃は、コップを持った和奏の手を自身のそれで包み込んだ。


「今も昔も、俺が好きなのは和奏だけだ」

「…っ」



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