苦くも柔い恋
やっぱり迷惑だったのかと思うと少し泣きそうになった。
そうだよね。
美琴に会いにきたのに、居たのは心底どうでもいい女で、図らずもそれと2人きりになれば気分だって悪くなるだろう。
「別にいい」
そう言ってふいと視線を逸らされてしまう。
これが美琴だったら意識してくれたのかなと思うとひどく切ない気持ちになる。
先程から千晃は何度もスマホを確認しており、その表情からおそらく美琴からの返事は相変わらず無いのだろう。
きっとこの2人だけの空間に居心地の悪さを感じている、それか意中の相手以外の女と2人きりでいることに罪悪感を感じているか。
千晃は強気な言動の割に根が真面目だから。
「やっぱ帰るわ」
スッと立ち上がり、千晃は短くそう告げた。
「美琴から連絡ないの?」
「勝手にブッチしたアイツが悪い。俺はもう知らん」
そう吐き捨て出口に向かって出て行こうとする千晃に、どうしようもない切なさを感じた。