苦くも柔い恋
ひとまず千晃用に麦茶を淹れて渡し、簡単に机の上の自分が占領していた部分を片付けた。
千晃はまだ少し続けるようで、それを横目にキッチンへと戻り鍋に水を入れてストックしてあった素麺を取り出して沸騰した湯にかけた。
朝から大して動いてないので自分は素麺だけで十分だが、千晃には物足りないかも知らないと思い冷凍していたご飯でおにぎりでも握ろうとレンジへ入れ込んだ。
炭水化物だらけになるがそこは目を瞑ってもらおう。休みの日の昼食なんて適当なのが普通だ。
和奏は素麺には薬味をたっぷり入れたい派なので、小葱とみょうが、青じそを切り刻みわさびも添えて皿に盛り、解凍の終えたご飯で梅と昆布のおにぎりをサッと作り気持ちのゆで卵も乗せて千晃分も完成させた。
あとは素麺の湯をきり軽く水洗いしてざるにあげ、それら全てを盆に乗せてテーブルへと戻ればいつの間にか片付けを済ませていた千晃が和奏の赤本をペラペラと眺めていた。
「できたよ」
「ん、サンキュ」
そう言って千晃は赤本を傍らに置き、テーブルに置いた盆から受け取った食器を並べたり茶を注ぎ足したりしながら不意に声をかけてきた。