苦くも柔い恋
水族館だってもちろん楽しみだ。けれど一番は千晃と一緒にいれることが嬉しい。
几帳面であまりプライベートな空間に他人を入れたがらない千晃がなんの躊躇いもなく自宅に上げてくれた事は、それだけ特別感がある。
もちろんそれは車だって同じことだ。
「千晃、助手席に私以外乗せたことある?」
信号待ちをする千晃に聞けば、呆れた目が向けられる。
「和奏お前、分かってて聞いてるだろ」
「ちょっとだけ」
「図太くなったな」
「慣れない方が良かった?」
「いや、」
信号が青に変わり、発進させながら続ける。
「心開いてくれたみたいで嬉しいんだよ」
少し弾んですら聞こえる千晃に勝手に口元が緩んだ。