苦くも柔い恋


「車になんて乗せるわけねえだろ」

「友達も?会社の同期とか」

「そいつらとはそもそも車で出なきゃ行けないようなところに行かねえ。飲みだったりで顔合わせるくらいで」

「そっか。そういえば私ね、再来週友達と旅行行くんだ」

「旅行?」


訝しげな声を上げ、一瞬だけ視線を寄越してきた。


「うん。大学の女友達と2人で温泉行くの」

「温泉って有馬か」

「ううん、道後」

「へぇ…」


丁度桜と休みの日程が合ったので、せっかくなら行ったことのない温泉街へ行ってみたいと言えば乗り気になってくれたのでだいぶ前から計画をしていた。


「泊まる旅館が老舗でね、せっかくだから部屋食にしちゃった。浴衣貸してくれて温泉街も歩けるんだって」

「道後か…確かアニメ映画のモデルになった建物があるとこだよな」

「そう、だからもちろん見に行くつもりだよ。あと桜が言うにはね、タルトがタルトじゃないらしいよ」

「なんだそれ」

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